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被災地での震災ボランティア

ボランティア内容
 5月の4~7日まで、「被災地障がい者センターみやぎ」を通して震災ボランティアに行ってきました。ここをバックアップしているのは、ゆめ風基金です。阪神淡路大震災を起に設立されたNPO法人で、自然災害による被災障がい者を支援し続けています。
 今回の活動内容は、宮城県内の避難所や仮設住宅、それを統括する役場を回って、障がいを持ってお困りの方がおられないかの調査と、実際の支援です。

被災地で目にした光景
 テレビなどの報道で見るのと、実際目にするのとでは、全く違っていました。テレビでは伝わらない、粉塵の舞う空気の悪さや、泥や海水やガソリンの混じったにおいから、事態の深刻さが一層感じとれました。
 内陸と沿岸部でその被害は大きく違っています。津波に飲み込まれた地域での光景が、目に焼きついています。車がミニカーのように積み上げられていたり、あらぬ所に船が停まっていたり、植物も塩水を被って真っ白に枯れていました。町全体が泥を被って、色を失っていました。
 津波の被害と原発の影響で、被災地域は果てしなく続いています。それでも今回目にしたのは、ほんの一部です。支援が行き届いていない、モノや人が足りていないのも納得でした。

被災地の現状
 宮城県内広範囲の、多くの避難所、仮設住宅、役場を訪問してきました。
 避難所では、まだまだ多くの方が不便な生活を強いられています。未だに寒い体育館の中で、うすっぺらいダンボールで仕切られただけの所や、食料も冷たいお弁当がずっと続いているところもありました。衣食住が十分確保されているとは言えません。
 仮設住宅は、やっとこれから入居がはじまったという感じです。夏頃まで移れない地域も多くあるそうです。これから暑い夏、厳しい冬を迎えるにあたり、新たな問題も出てくるのでしょう。
 役場には、仮設のプレハブで対応している所もありました。狭いスペースに人がごった返し、皆さんやつれた表情。役所の方も、同じように被災者です。行政の対応にも限界がありました。

被災地での障がい者支援
 ただでさえ過酷な被災地での状況です。ましてや障がいによりハンデのある方は、より大変です。
 視覚障がい者や聴覚障がい者の方は、情報が得られず、取り残されていることもあります。避難所でも、救援物資が行き渡らないなどの問題も出ています。
 自閉症や発達障がい者の方は、自らSOSを求められなかったり、環境の変化にうまく対応できず、日常と違う生活が続くことでパニックになられる方もおられます。通院していた医療機関が被害を受ければ、必要な薬が不足し、病状が悪化することもあります。欠かせない薬は、ある程度の備蓄も必要かと思いました。
 そして知的障がい者や精神障がい者の方は、見た目にはわかりません。ある避難所では特別のスペースを用意されていましたが、まわりに理解されなかったり、他の避難者と摩擦を生むこともあります。日頃からの地域との関わりや理解が必要であると感じました。
 ライフラインの寸断は、生死に関わることもあります。普段何気なく使っている電気などが、いかに大切かも知らされました。「電動」という名のつくベッド、リフター、車イス、人口呼吸器などが使えなくなります。災害時に限らず、もしもの時に備えて、手動でも対応できる方法を考えておく必要があると思いました。

被災地での鍼灸治療
 今回避難所や仮設住宅の被災者の方に直接治療を行うことはできませんでしたが、わずかながら、現地職員の方やボランティアスタッフの方に治療を行いました。皆さん鍼灸に対しての抵抗はありました。まずはローラー鍼や円皮鍼から始め、そして希望者の方に治療しているのを回りの方が見物することで、「私も」、「僕も」、と次につながっていきました。
 スタッフの方は地震発生以来、不休で働かれている方も多くおられます。身体への負担も相当でした。その分、簡単な治療でもその効果が如実に現れ、皆さん鍼灸治療というものに驚かれていました。

被災地で感じた治療ポイント
 やはり、めまいです。となれば、不眠症も伴います。関東地方でもかなり多くの方が「地震酔い」として悩まれているようです。未だに余震は続いていますし、いたる所の地面や建物が傾いているため、水平というものが感じ取りにくいこともその原因としてあるでしょう。心身共にリラックスできるようにと、平衡感覚のケアがポイントかと思います。
 そして、空気が良くないです。津波の被害を受けた地域は、一面に泥が残っています。それが乾燥して、砂埃となります。黄砂が常に舞っているような状態。咳き込んでいたり、涙、鼻水を流している方も多く見かけました。呼吸器系の疾患、感染症などに注意が必要で、耳鼻咽喉科領域へのケアは重要かと思います。それに伴う首、肩こりなども、つらいでしょう。
 意外に、膀胱炎なども。上の口があれば、下の口も。仮設トイレをあまり利用したくないと我慢されていたり、避難所での衛生状態も決して良くはないでしょう。
 とにもかくにも、身体がゆっくり休めない状況では、免疫力が低下すれば、どんな病気にもなりやすいです。心身ともに休める環境を整えることも大事です。

今後の活動
 やはり、どこでも手軽に治療できる「鍼灸師」という専門職を活かした活動が望まれます。しかし、単回の治療でどこまで多くの被災者の方のためになれるかは課題。中途半端な支援であれば、現地の人の手をわずらわせたり、不十分な治療効果で残念な結果に終わってしまうことも。
 その対策としては、セルフケアを伝えることが重要かと思います。具体的には、各避難所や仮設住宅でセルフケア教室を開いたり、ローラー鍼・せんねん灸を配布したり、ケアするポイントをチラシにして配ったり、こちらの連絡先を渡して帰ってからもアドバイスし続けられる体制を作ったり…、考えればいろいろありそうです。
 あと、身体以外の問題点も必ず出てくるでしょう。そのとき、行政や各団体に橋渡しできるように、知識は必要です。現地でどうするかよりも、現地に行くまでの準備も重要かと思います。

最後に
 復興には気の遠くなりそうなとても長い歳月がかかると思います。全てを見てきたわけではありませんし、短期間でわかるはずもありません。ただ、被災地には、将来への不安を抱えながら、まだまだつらい状況の中で生活をされている方がおられることは事実です。
 被災地を離れて生活していると、震災のことを忘れてきてしまいます。実際、阪神大震災を経験しても、月日と共に忘れてきています。しかしこの災害を決して忘れることなく、忘れても思い出して、被災地のことを思い、各々にできることを何か実行に移して頂きたいと願います。

SORA鍼灸院 森川真二
 

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